[RIDE THE LIGHTNING] Chapter17
目の前に積まれた札束の山にスラムの人々は狂喜乱舞していた。しかし、
『ハッハッハ、喜んでもらえてなによりだ。しかしこれだけの金、もう時期価値がなくなる』
RIDE THE LIGHTNINGのその言葉で、場は一斉に静まり返った。
〔アイオワ州シーダー・ラピッズ グレゴリオ暦2061年9月21日 16:22 p.m. -6〕
「なんだと?」
RIDE THE LIGHTNINGは言う。
『お前たちとて、地主と契約しているのだろう?』
アレーテイア・クライシス直後、溢れかえった失業者達は暴動を起こした。
都市機能をこれでもかと破壊すると、ようやく国家に頼ることの愚かしさに気づき、自給自足を目指した。
だが彼らは、自分たちが生き延びるのに最低限の畑だけでは飽き足らず、さらなる利権を欲して略奪を繰り返し、あまつさえ、同胞を手にかけるようになった。
略奪の繰り返しの中で、次第に、徒党を組んだ者達が台頭するようになると、彼らは畑を持たぬ者との食物の取引によって利益を得ようと考えた。
それが今日における地主と呼ばれる存在である。
バリケードで囲われた街に踏み入ることの許されぬスラムの住民たちにとっては、地主との交易が通貨の唯一の使途であった。
「そうだ。俺たちは、ハルフォードんとこからジャガイモを……取引が出来なくなるってのか? でもどうして」
『その地主の命が狙われている。そしてその謀反は、果たされる運命にある』
RIDE THE LIGHTNINGがそのように発すると同時に、股間に設けられた突起部、その上部の装甲(便座の蓋のようである)が、静かに展開された。
「馬鹿な。あそこは根菜の取り扱いしかないが、腕っぷしだけだけは確かなんだ。なんたって、州警察を丸ごと囲い込んでるんだからな」
「それにハルフォードにはいざというとき縄張りの畑と心中する用意がある。奴の心臓が止まれば、畑という畑に仕掛けられたTNTが土をダメにする。イカれてるが、だからこそそういうリスクとは無縁だって、高くくって契約してたんだが……くそ、なんだってそんなバカなことを! バカはどいつだ!」
『私怨というやつだ』と、RIDE THE LIGHTNING。
「そんな……おしまいだ……」狼狽する老婆。
高年の男が切り出す。
「な、なあアンタ。ふてぶてしい言い分なのは分かっているつもりだが……なんとかしちゃあくれんのか?」
「いいや、恐ろしいことを言ってくれおって。それが本当なら、この老婆の心臓を労わらん貴様のような不埒な輩には、わしらの安全保障をしてもらわにゃあ話にならん」
RIDE THE LIGHTNINGに詰め寄る老婆を高年の男とフランチェスカが慌てて静止する。
「バッ、なんてことを言ってくれちゃって! よしなさいよ!」と、高年の男。
「そうよ! 恥を知りなさい!」と、フランチェスカ。
「ドカドカ言っとる場合か!」老婆は怒鳴る。と、
『私に考えがある』
RIDE THE LIGHTNINGは言った。
「すると、お救いくださるのですか? 何故?」フランチェスカは不思議そうに尋ねる。
『私はガリアなのだろう?』
