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その日の夜、マイケはシンディ―とダグラスを訪ねた。
〔アイオワ州シーダー・ラピッズ グレゴリオ暦2061年9月21日 18:03 p.m. -6〕
「なあシンディー」
「ん? おお、マイケ。あの電気椅子男はどうしたんだ?」
「アイツとは一体化してて、今は入れ替わってる状態。あと、アイツは女だ」
「ふーん……ん? オンナァ⁉ あれがか?」
「みんなのママなんだとよ。今度会ったらおっぱいでも貰ったらどうだ? 怒りっぽいのが治るかもしれないぞ」
「……それ、アタシがアンタの乳飲んでるみたいにならないか?」
「あ」
フリーズするマイケ。
「ふむふむ。最近俺も気が短くなってきたからな。婆さんがいらないっていうなら代わりに俺が――」
「ああっ! い、今のはナシだナシ!」
慌てたマイケはダグラスの声を遮る。
「ちぇっ……痛っ!」ダグラスはまたもやシンディに頭を叩かれる。
「スケベェにはこうするのがいい」
「冗談、冗談だってよ!」
「それで、どうしたんだ?」
シンディに問われて、マイケは答える。
「ん、ああ。フランはどうしてるかなって」
「そういやさっきから見ねぇな」
「あの子もここで暮らして長いからね。いくらこんなクソッたれな土地でも、名残惜しかったりするんだろう」
「あれ、でもフランがどっか行ったのって、引っ越しの話の前だった気が……」
「そうだっけか?」
「あれ、違かったか?」
「アタシに聞くなよ」
マイケは言う。
「ありがとう。もう少し探してみる」
「ん、そうか」
「おやすみ、マイケ」
「ああ、おやすみ」
マイケはその場を後にし、RIDE THE LIGHTNINGに問う。
「なあ、フランの居場所。分かるか?」
『ああ。ここから南西に500メートルの位置だ。見晴らしのいい場所でもあるのか?』
「南西500メートル……っ! 馬鹿野郎!」
マイケは声を荒らげた。
『わかる』
「そうじゃない! そこは荒くれものの巣窟なんだ!」
『わかる』