[RIDE THE LIGHTNING] Chapter20

  • 完全版
  • 通常版

 その日の夜、マイケはシンディ―とダグラスを訪ねた。

〔アイオワ州シーダー・ラピッズ グレゴリオ暦2061年9月21日 18:03 p.m. -6〕

「なあシンディー」

「ん? おお、マイケ。あの電気椅子男はどうしたんだ?」

「アイツとは一体化してて、今は入れ替わってる状態。あと、アイツは女だ」

「ふーん……ん? オンナァ⁉ あれがか?」

「みんなのママなんだとよ。今度会ったらおっぱいでも貰ったらどうだ? 怒りっぽいのが治るかもしれないぞ」

「……それ、アタシがアンタの乳飲んでるみたいにならないか?」

「あ」

 フリーズするマイケ。

「ふむふむ。最近俺も気が短くなってきたからな。婆さんがいらないっていうなら代わりに俺が――」

「ああっ! い、今のはナシだナシ!」

 慌てたマイケはダグラスの声を遮る。

「ちぇっ……痛っ!」ダグラスはまたもやシンディに頭を叩かれる。

「スケベェにはこうするのがいい」

「冗談、冗談だってよ!」

「それで、どうしたんだ?」

 シンディに問われて、マイケは答える。

「ん、ああ。フランはどうしてるかなって」

「そういやさっきから見ねぇな」

「あの子もここで暮らして長いからね。いくらこんなクソッたれな土地でも、名残惜しかったりするんだろう」

「あれ、でもフランがどっか行ったのって、引っ越しの話の前だった気が……」

「そうだっけか?」

「あれ、違かったか?」

「アタシに聞くなよ」

 マイケは言う。

「ありがとう。もう少し探してみる」

「ん、そうか」

「おやすみ、マイケ」

「ああ、おやすみ」

 マイケはその場を後にし、RIDE THE LIGHTNINGに問う。

「なあ、フランの居場所。分かるか?」

『ああ。ここから南西に500メートルの位置だ。見晴らしのいい場所でもあるのか?』

「南西500メートル……っ! 馬鹿野郎!」

 マイケは声を荒らげた。

『わかる』

「そうじゃない! そこは荒くれものの巣窟なんだ!」

『わかる』

error:
タイトルとURLをコピーしました